「IoT」の活用事例

「IoT」の活用事例

スマート農業にはIoTの技術も欠かせません。ここではIoTのメリットや活用事例をご紹介します。

IoTのメリット

IoTのメリット

ビニールハウスなどにセンサーを設置して、温湿度、気圧、照度などのデータを計測します。センサーに通信機能を持たせることで収集したデータをネット上に集約することができます。スマートフォンなどで専用のシステムにアクセスすれば、どこにいてもデータを確認することができます。また、蓄積されたデータから防除や施肥のタイミングを図ることも可能になります。
施設栽培ではこの仕組みをフル活用することができます。収集されたデータと制御システムとを連携させることで潅水や施肥、農薬、環境などの制御を自動化することも可能になります。また、IoTによって得られたデータを分析したり、ほ場の状況と照らし合わせたりすることで、いままで経験や勘に頼っていた作業も定常化させることができます。そうすることで、初心者でも農業に参入しやすくなります。
また、経験不足から大きな損害を被るリスクも軽減できます。つまりは、就農のハードルを下げることができ、新しい農業の担い手を増やすことが期待できます。

IoTの導入事例

千葉県のスマート農業導入実証事業では、家から9kmも離れた約250枚のほ場管理に多くの労力を費やしていた農家へ、水管理システムを導入しました。水田の給水バルブと排水口にセンサーを設置。これによって水田の給排水を遠隔操作により自動制御できるようにしました。設定した水位になると自動的に給水が止まるため節水にもなります。センサーのデータはクラウドで確認できるので、水位確認や給水のためにほ場へ行く必要がなくなりました。これは大きな省力化につながったそうです。
このシステムを導入したほ場では、収穫までにゴミ詰まりの対処をしただけで他に作業をしていません。一方、導入していないほ場では35回も作業をおこなったそうです。この検証でわかったことは、給水バルブだけをIoTで制御可能にするだけで十分省力化が図れるということでした。
次に福島県の施設栽培における導入事例です。施設栽培は、露地に比べて労力を要する灌水作業などがあり、管理も複雑で新規就農者には収穫が減ることにもなりかねません。そのため、新規就農者や施設拡大を考えている農家のためにも作業の効率化が必要でした。そこで、きゅうりの施設栽培にIoTを活用したシステムを導入。センサーに通信機能をつけて計測結果を蓄積していきました。そのデータにもとづいて培養液や液体肥料などを適切なタイミングで適切な量を供給できるようにシステム化しました。これによって、労働時間やコストが90%以上も節約できたそうです。

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