ITが農業にもたらす効果とは？スマート農業の目的

人手不足の解消

スマート農業では農作業の省力、軽労化が期待できます。農家の高齢化が進み、日本の農業は深刻な人手不足に陥っています。そんな日本の農業をスマート農業が変えていくと期待されています。若い人の新規参入と並行して、スマート農業のような最新技術を活用すればロボットや機械で人手が足りないところを補うことが可能になります。
農作業はとても過酷で、それも農家の深刻な課題になっています。農業は生き物や自然を相手にする仕事です。作物の成長を日々管理しなければなりません。そのため、休みが取りにくく作業量も多いのが現状です。作業量の多さや過酷さは高齢化が進む日本の農家において重要な課題です。スマート農業を活用してさまざまな作業を効率化し、作業量を減らすことは急務とも言えます。
農業は辛い仕事だというイメージがあるでしょうが、スマート農業によって効率化や省力化が進めば就農のハードルが下がり、農業従事者が増えることも期待されています。

後継者問題の解消

新規就農者へ栽培技術などを継承することもスマート農業を活用することで継続的に継承できるようになると期待されています。これまでは家族だけで継承されてきた技術もスマート農業ではデータ化するなどして客観的に継承することが可能になります。
農業は、はじめた日からうまく作業を進められるものではありません。長年蓄積された知識や経験があってこそ、良い作物を育てることができます。人手不足や高齢化などによって農業技術の継承が各地で問題になっていますが、スマート農業はこうした問題の解決にもなりうるのです。

食料自給率の向上

日本の食料自給率は、カロリーベースで約37%と言われています。国内生産よりも輸入のほうがはるかに上回っています。現状では適切なバランスだとは言えません。前述のような問題が多い中で、生産性を上げて収穫量を増やし、自給率を上げていくためにはセンサーやロボットによる自動化、工場化といったスマート農業の技術が欠かせないものになってきます。

環境の保全

農業に必須なのが化学肥料や農薬ですが、最近では環境保護の観点から海外では使用制限の動きがあります。スマート農業を活用すれば化学肥料や農薬の量を減らすことも可能になります。場合によっては、これらを使用せずに栽培できるかもしれません。生産量を維持しながら環境に配慮した農業が可能になります。

品質向上

作物の品質を向上させるには、その作物にとって最適な環境や状況を作らなければなりません。そうした作業は長年築き上げた経験や知識がなければ不可能ですが、スマート農業を活用すれば栽培履歴をデータ化したり、気候や土壌のデータから最適な環境を導き出したりすることも可能になります。