便利な側面の一方、まだまだ課題も存在する

便利な側面の一方、まだまだ課題も存在する

便利なことがたくさんあるスマート農業ですが、実際に導入していくためにはまだまだ課題が多いのが現状です。

導入コスト

導入コスト

スマート農業に必要なサービスや機器は基本的には高価なものばかりです。小規模な農家では導入するには費用対効果が見合わないかもしれません。低コストで省力化と生産性向上を目指すスマート農業もありますが、まだまだ実験段階です。こうした導入コストがスマート農業を普及させる妨げになっています。補助金などの国や自治体の支援を活用したり、コストを下げたりするための研究開発、レンタルやリースなど、導入しやすいバックアップをすることが期待されます。

ITリテラシーの低さ

ほとんどの農家が高齢者で、いままでの栽培方法が確立しています。スマート農業では最新機器を活用しますので、IT化が進んでいない農業分野においてスマート農業を普及させるためには農家のITリテラシー向上が必須条件になります。農家である当事者がそうした最新技術を駆使したシステムを使いこなせるようになることはもちろんですが、新しいテクノロジーを担う人材の募集、育成なども急務となっています。また、スマート農業を活用するためのサポートをする橋渡し役になれる人材や企業も求められています。

規格の違い

たくさんの企業がスマート農業に関する機器を開発しています。違うメーカーの機器同士は互換性がなく、使いまわしたり、連携させたりすることが難しいです。トータルして必要な機器を提供するサービスや企業が現れれば普及にも役立つでしょう。しかし、現在はひとつの作業ごとに違う機器が開発されているのが現状です。今後、スマート農業を普及させていくためにはメーカーを超えた規格の統一などが必要になってくるでしょう。

共通化が難しい

日本の農家は、作付面積が大きいところもあれば小さなところもあり、たとえば広大な土地を便利に耕すことができる自動運転のトラクターがあったとしても、小規模な農家には不適切だということも少なくありません。
また、日本の農家は地域ごとに栽培している作物が違ったり、季節ごとにさまざまな作物を育てていたりするので、ひとつの作物に対してはとても有効なシステムであったとしても他の作物には使えないといった事態が発生します。

市場の縮小

そもそも日本の農業は縮小傾向にあります。市場が拡大していかなければ新しいサービスを提供する企業も誕生しませんし、テクノロジーも進歩していきません。スマート農業に関連する企業、そして生産者や農協などが相互に連携してスマート農業の普及に取り組み、収益性の高い新しい農業へ変革していかなければなりません。

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